川上稔の開発日記・バックナンバー2



1998.12.6着

忘月忘日

 そう、それは忘れもしないある夏の雪が降った日(いきなり忘れてんじゃねえか)のことでした……。
 テンキーBBSで、
開発日記が更新されないんですが」
 という書き込みを見た自分は、数秒考えて、よーやくここの存在を思い出したりしませんでした。
 自分は、
「ホエ?」
 と首をひねったあげく、
「何ソレ」
 などとつぶやいてそのまま大坂小説の下巻原稿をぶっ叩きはじめ、ダイエットペプシを飲みつつ、小説執筆にガンガンと集中していくのでしたー。
 そしてまあ枚数にして5ページほど稼いだ後でようやく開発日記とは何かを思い出さずに冷蔵庫でよく冷やしたブラックブラックガムを取り出し、それを食いつつ再執筆。
 終わり。
 じゃないってば。
 とりあえず紆余曲折あって開発日記とは何かを思いだした川上「ナイス記憶力」稔は、テンキーBBSに謝罪文だか感謝状だかよく解らない文章をのっけて、
「他にも忘れてるコーナーとかってあるよなあ、きっと」
 などと言いつつ、それを確かめもしないのでした。
 うーむ。
 これのどこが開発日記なんでしょーか? まあいいや。いいかも、いい気が。ううむ。
 以後、日にちを遡ったりするので気をつけるよーに。特に自分。

北月北日

 サターン系の雑誌が皆、サターンではなくDCと名前を変えていくらしいですな。
 会社でシナリオ作業をやりつつ、んなことを耳に。
 すると、自分の横で将来DC的雑誌を見ていたSMが、
SM:「おおう、川上さん、DCスゴイですよ、ほら、この、”北へ。”ってのが!」
自分 :「は? 何それ?」
SM:「いや〜、ハドソンのゲームなんですが、スゴイんですよ」
自分 :「タイトルは? もう一度言うてみ」
SM:「北へ。」
自分 :「ふむ」

 うなづき、
自分 :「……成程な。”鍛え。”、か」
SM:「ええ、”北へ。”です」
自分 :「うーむ、”鍛え。”かあ。ハドソンもついにその領域に入ったか!」
SM:「スゴイですな、”北へ。”だけにきたえ(期待)大ですか」
自分 :「本日五秒前より下らないシャレを言う人間は死刑と決まりました。よってオマエ死刑。ウイーン(死刑ドリル音)

 続く。

拭月拭日

 メディアワークスのスポーン佐藤さんが来社。
 色々と話していて、ちと自分的にトイレ
 手を洗って備えつけのタオルで拭いてると、そのタオルにどこかで見覚えが。
「?」
 と広げてみると、黒いタオルの全面に、
『電撃』
 の二文字。
「おいおいおいこれこれこれ去年の忘年会の品じゃないかいやいやいやこんなとこにやいやいやいやメディアワークスでトイレの手拭いやいやそんなこといやいやいやいや」
 と稲川淳二的に慌ててみましたが、隠すトコもなし、結局放っておいてみたり。
 数日後に見ると無くなっていたから捨てられたのだろう。(笑<じゃねーって)
 気まずいなあ。

呼月呼日

 会社に泊まり込んでシナリオの修正作業。
 キャラの呼称問題を統一。
 三日ほど寝てないっす。
 うーむ。
 気づくと深夜の三時なのに社員が全員いる。
 幻覚?
 気まずい。
「おーいNさん」
 と、辞めた人間の名前を呼ぶと、
「うーい」
 と返事がくる。(笑)

 幻覚。
 これはかなりマズイ。
 仕方なくヘッドホンの音量最大で仕事に専念。
 隣では本日早退したはずのSMが妙ににこやかに手を振っているがきっと偽物だな。
 でも、偽物に書類を渡して、
「コピーしとけ」
「ラジャー」
 で、翌朝みたらコピーができてたのは何故でしょーか。

鍛月鍛日

 夜、小説の原稿を書いていると部屋に友人が来る。
 そこでコーラを飲みつつ語り合う。
自分:「……で、だ。つまりはDCにも隠し玉があったのだな」
友:「さすがはSE〜GA〜のSEGAだな。で、その隠し玉とはいかに?」
自分:「うむ、タイトルを”鍛え。”という」
友:「”鍛え。”? 随分と右なカンジだな」
自分:「ああ、本番はきっと”鍛え。”ではなく、”鍛”の一字だろうて。往年の麻雀ゲーム”掟”に続く一発タイトルだな」
友:「パッケージが目に浮かぶな。黒い箱に赤い字”鍛”の一文字か。して、内容は?」
自分:「うむ、どうやら日本を北の方角に向かって旅するゲームのようだ」
友:「……ヴェガ、とかいう超豪華列車に乗るんじゃないだろーな」
自分:「いや、まさかそれはあるまいて、ベガはゴウキに負けるから、列車に着けるならもっと強い名前だな。つまり、だ」

 と、以下が自分達の予想したDC用ゲーム”鍛”のコンセプトデザイン。
「鍛」(きたえ)
ハード:DC
予価:二枚組6800円
ジャンル:鍛えるゲエム
企画コンセプト:とりあえず真の男を目指す。
          喝が欲しい。
内容:鍛える
ストーリー:
 超高速旅客列車ギガが北海道に着くまでに鍛えろ。
 なお、ギガは時速80キロ以下になると爆発するので注意。
主要キャラ:
 ・謎の操縦コンピュータ999式ズギュウン五号
 ・謎の車掌
 ・謎の中国人
 ・謎の料理人
 ・謎のテロリスト
 ・謎の大統領

自分:「ううむ。コレならば自分は買うな!」
友:「やるなあハドソン、いくぜSEGA、ってカンジか」
自分:「うむ、このためならばDCを予約しても悔いはあるまいて。さあ、予約に行こう!」
友:「午前三時にどこ行くんだテメエ」

 続く。


回月回日

 激務な仕事中に後輩からきたメールの会話と、自分の返答。

後輩:「> (略)まあ、酒の関係ではそんなとこです。
    > あと、ロシアで生まれて、一時妙に流行ったのは、
    > ナンデしたっけ?」
自分 :「スクリューパイルドライバー」
後輩:「> ・・・確か、食品でした・・・ええ」
自分 :「じゃ、放射能」


 忙しいと大変です。

T月T日

 TGS前日、というか二日前からスタッフ寝泊まり態勢敢行。
 朝っぱら、ROMをもって幕張出撃。
 午前5時ですよー。
 寝てないからかなりヤッホー気分でいると、途中の駅で、
ナッシュ・ケン・リュウ
 が入ってきて自分の横に座った。


ナッシュ:「いやあ、かなり時間がかかってなあ、髪の毛」
リュウ :「その分自分なんか楽だなあ」
ケン  :「しかし朝は寒いな、近頃、たまんねー」
自分思考 :(生きていたのかナッシュ……)


 列車は幕張に静かに向かって自分は体重が3キロ減。
 いやあ、皆で死んだ死んだ。

驚月驚日

 DC雑誌が出る。SMがそれをもってきて、
SM:「あ、川上さん、見たがってた”北へ。”が載ってますよ」
自分 :「何? ”鍛”が?」

 と、SMが広げて見せたDC雑誌にはギャルゲーの写真が。
 とりあえず無視、雑誌を一気にめくってみるが、
自分 :「……どこにも載ってないぞ、”鍛”が」
SM:「え? おっかしなあ、さっき開いたページですよ」

 開いてみる。
 見えるのはギャルゲー。
自分 :「何だ? このギャルゲー」
SM:「だから、”北へ。”ですよ」
自分 :「”北へ。”じゃなくて”鍛”だろうが」
SM:「だからそれが”北へ。”なんですってば!」

 見ると、”北へ。”と書いてある。
 発音。
自分 :「”鍛”
SM:「ほら、それが”北へ。”ですって。見たかったんでしょ?」
自分 :「なあ、……おい」
SM:「はい? 何です?」
自分 :「自分の”鍛”をどこに隠したああああああああああああっ!」

 「”鍛”の巻」−完−。


1998.8.11着

整月整日

 まだ引っ越しの荷物整理。
 休日しか整理できない上に、一日にする仕事量を決めているので、
「あ、仕事する時間だ」
 となると整理をうち切ってしまうためですな。
 で、テキトーに荷物をガシャガシャやっているとカキ氷製造器、通称、
氷クラッシャー(今名付けた、ちなみにクラッシャーだと間違いだな英語的に)」
 が出てきたのでおもむろに氷をシャカシャカする。
 で、何か上にカケるモノがないかと思って冷蔵庫を開ける。
「塩」
 違います。
「醤油」
 心臓病になるってば。
「めんつゆ」
 次!
「焼き肉のタレ」
 うーむ、参った参った。自分って高血圧になる調味料しか持ってなかったのかなー……?
 しょーがないのでめんつゆかけたら案の定マズかった。


斗月斗日

 会社の自分マシンにFDを突っ込もうとしてしゃがむと、横のSMの机の下が見えた。
 何故か机の下、奥側の面に、
「巨大な握り拳のコピー画像(B4)」
 が張ってある。
「…………」
 未だに事情を察して何も言っていない。
 夜、泊まりの際に彼のマシンに仕込まれたラブリーな電気ネズミの壁紙を、
「全部”ラララむじん君”画像に換えた」
 のがいけなかったのだろうか。
 深い。


静月静日

 スタジオツーファイブにてOSAKAの音どり終了
 ああ、終わったとか思って向こうの松木さんとダベっていたら、
「自分の仕事ってこの一ヶ月半、全然進んでないんだよなあ」
 という恐ろしい事実に気づく。
 修羅場開始。


裸月裸日

 大阪小説のキャラ原画などを眺めつつやっさんと話す。
や:「川上さん、またエロシーンあるんですか?
自分:「……描きたい?」
や:「あ、いやだなあ、川上さんが決めるんでしょうソレは」
自分:「そうかあ、描きたいのかあ、じゃあしょうがないなあ
や:「え? あー、結局またあるんですか?」
自分:「そうかそうかあ、やっさんが描きたいならしょうがないなあ!」
 そういうわけで、あるらしい


1998.7.24着

火月火日

 香港下巻の挿画、打ち合わせで担当のスポーン佐藤さんが来社される。
 陰では家族のために寄生服と鎖を装着してかつての上司と闘う地獄の将軍らしいが、本人はいたって温厚なナイスミドルです。(日本語になってないですなー)
 以下、名言集。
自分:「口絵のアキラやガンマル、どうします?」
ス:「どうします……、とは?」
自分:上巻が制服でしたから、下巻は私服とかにしますか?」
ス:「う〜む……。いや、上巻と同じような制服でいきましょう」
自分:「あ、じゃあ、インナーでいきましょう。でもいいんですか? 制服で
ス:「ええ、制服好きな人多いですからっ

 ……か、書いていいのかな? こういうことを全世界に向けて……。
 ま、まあいいや、次。

自分:
「あと、アキラとガンマルのSEXシーンの挿画はどうします?」
ス:「あ、そうですね……、あまりモロなのは……、電撃として……、その」
自分:「了解しました。イチオー、後ろ向きとか考えて背中メインで、と」
ス:「あ、そうですね。あまり激しいのはちょっと。でも川上さん、本文で体位の説明とか……しちゃってるんですよね」
自分:「あ、大丈夫ですよ。なんとかソフトにまとめますから」
ス:「そうですね、御願いします。で、あとは……、そうですねえ、……その」
自分:「?」
ス:甘い表情で……(遠い目)」

 ……って、やっぱ書いてはいけないような気がしてきたぞ。
 ううむ、でも、まあ、なんだ? 自分がガキだと思い知らされます(笑)


滅月滅日

 前回から続く、SM君のエビ日記。

一日目:「へんかなし」
二日目:「たまごがふかして ちいさいのがいっぱいうごいている」
三日目:ぜんめつ した

 やっぱ味塩じゃダメなんだってば。


音月音日

 スタジオツーファイブにてOSAKAの音どり開始。
 猛暑。
 だけど、初めて会う方や友人的な方とかに再会できたり色々な話ができて面白い面白い。
 OSAKAというゲームを、おそらく最も最初に、
「全体的に見た人達」
 なのではないかな、と。
 ヒロイン、句刻役の柳瀬なつみさん曰く、
「驚いたことに、ゲームなのにミニスカート系のお話じゃないんですよね」
 ううむ、スゴイ専門用語だ……。

尻月尻日

 香港下巻の挿画を、CG班がガリガリ描く。
 原画のやっさん、徹夜でスサむ。
 ちなみに、アキラのSEXシーンの挿画ファイルは、俗称”尻”・
 以下、姉御とやっさんの会話。

や:「あ、すいません、姉御、尻見せて下さい
姉:「あ、いいっすよ。今すぐっすか?
や:「ええ、今すぐ尻見せて下さい」

 君たち……、ハタから聞いたら何を言っているのかビビりますわ……。


1998.6.21着

風月風日

 ムチャクチャ忙しいらしくて、逆に忙しくないような気がしてきたり。
 36時間不眠態勢発動。とにかくデータ作成だムッヒョー
 横でSM君が脚本作成に入っているのを見つつ、作業、そーしてると、
「風水街都−香港<上>」
 の見本十冊を抱えてメディアワークスのスポーンS氏登場。
「いやあ、できました! 冥王マルボルギアに謙譲しましょう」(一部ウソ入ってますこの会話)
 ううむ、やっとできたー三冊目。見本を手にとって広げる際の緊張感は未だに慣れないなあ。
 とりあえず、やる気復活。
 そろそろ真剣にOSAKAの小説もやらんとなあ。
 ……ん? 今回マジメだな。どうしたことでしょうか。

保月保日

 香港上巻が早売りされてみたり。
 夕飯時に挿画の原画を描いたやっさん誘って書店へGO!
 一件目。
自分:「あ! 香港無いっすよ香港。他のはあるのに。売り切れかな」
や:「いやあ、そりゃ無いっしょ。仕入れてないだけっすよ」
 二件目。
自分:「あ! ここにも香港無いっすよ香港。他のはあるのに。売り切れかな」
や:「いやあ、そりゃ無いっしょ。仕入れてないだけっすよ」
 三件目。
自分:「あ! ここにもマジで香港無いっすよ香港。他のはあるのに。売り切れかな」
や:「いやあ、まだまだ信じないぞお」
 信じなさいって……。

迂月迂日

 フラグ関係の処理が表なんか作るよりも直接作った方が早くて、しかも正しいということが解る。うーむ、時間の無駄にならんようにせんとなー、と思ったら異様に早く作業が終了した。
 気づくとあとは説明文章などを作って、シナリオのコード挿入をするだけ。
「おお、自分の仕事、先が見えた!」
 小説は?
 ぐへえ。


獣月獣日

 昨夜、コンビニで買い物して帰宅したら、何故か買い物袋に、
「エビを育てるキット」
 なる学研の化学となんたらのような小水槽セットが入っていたり。
 いつこんなモンを袋にブチこんだあの店員わ!
 クソー、と思うのも悔しいので隣席のSM氏に渡してみんとす。
「世話しろ」
「ラジャー」
 ってわけで水槽に塩水が必要なのだけど、SMは堂々と味塩を買ってきた。
 それってヤバいんじゃない?
 しかし何だかんだ言って忙しいなあ。
 OSAKAHPはどう更新しよう?


1998.5.26着
開発日誌その4(おお、何かマジメなタイトリングだ)

外月外日

 仕事をしていて社長と話す。
「OSAKAのホームページの情報量がデカすぎるからどーにかして、ってか、しろ」
「ういっす了解」
 ってワケでOSAKA・HPのリデザインを考えるがどーもうまくまとまらんですな。
 完全アイコン指定の醒めたモノにしよーかなあ? INDEX形式でガッチリまとめよーかなあ? とにかく現状では情報量と階層量が雪ダルマでアウト。グラフィック関係とか深すぎて最後まで到達した人ってどれだけいるんでしょーか?
 考えないとなあ。(とはいえ、未だに決定稿が出ないのはマズいっす。しばし待ってー)

内月内日

 引っ越し完全終了。これからようやく一人暮らし平和だ……
 まずはバルサンですな。
 で、自分マシンのデル夫にようやく128、b増設完了。これでよーやく重たい絵が描けます。昼飯とかガマンして金をためた甲斐があったなあ。まずは倫敦と香港のファンレター返信用のポストカードでも作りましょーか……。ああ、印刷代でまた極貧。

喜月喜日

 何とかナレーション用のシナリオを完全に作成終了。上に提出。
 うけけけけけけけけけけけ。勝利! ビバ、何とか一仕事終了。でもこれから汎用シナリオですか? リスト作成ですか? 新聞内容作成ですか? 逃げちゃダメですか? そうですか。
 参ったなあ。
 でもまあとにかく文章ファイルの大きさはセリフの羅列のみで2.4メガバイトあります。小説で350ページくらい書くと200キロバイト行くんですよね自分。ということは(24÷2)×350=12×350=4200ページ分ですか? 小説にして。これがメインシナリオ? ちなみに普通、
「小説〜冊分のデータ量!」
 と広告表記される時の、”一冊分”って、大体250ページくらいです。それで換算したら……。
 無論、物量が正義とは言いません。冷静な判断で見ればそれは長いゲームということになりますから。だが本格派とした場合にはこの情報量は絶対的な武器となるハズです。
 まだ汎用があるしなあ。シャレにならんぞこの物量は……。

妊月妊日

 エクセル導入。
 そういえば自分ってパソコンいじりだして十五年になるが、今日にして初めてTABの利用価値が解った。(笑)
 ううむ、でも使わないや多分。小説書くのにいらないしなあ……。
 メディアワークスの担当Sさんと香港上巻の再校とかをやりとりしつつ話し込む。ちなみに担当SさんのSはスポーンの略だということは自分しか知らないだろうな……。ようやく香港が手を離れていくか。次は大阪だ。
 香港の巻末に載せる大阪の広告などについても会議。
「都市シリーズって、動き出してるのね」
 などと他人ごとに考えてみたりして。

忙月忙日

 やっぱりOSAKA・HPのリデザインが決まらないので、当分、この開発日誌を更新し続けていくことに方針が決定する。参った。早くこの多忙な展開を抜けないと。
 え? OSAKA小説? 急ぎですか。うわあ。

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